最近よく高校生くらいのバンドマンから言われるのが
「ノルマ高いですね」
ってこと。
TAKE UP SEED企画のイベントでは、考え方はホームページにも書いてあるけど、
理想はノルマなんかかけなくても成立するイベントを創っていきたいんです。
現にそういうシリーズも定期的に組んでいるし、ある程度のキャパは埋められるようなラインナップになってる。
ただ、高校生イベントでノルマがない、というとどうなるか。
誰もお客さんを呼ばないんですね。
友達とか誘ったりしてるけど、ほとんどが値下げをして売ってる。
これだとイベントが成立しません。
単純に計算してもらえばわかることですが、前売¥500のチケット30枚をノルマとして、みんなで30人頑張って来てもらって、10バンド集まれば300人の前で演奏できるわけですよ。
実際には全バンドが達成できるわけではないので、半分だとしても150人。
やっぱり10人20人の前での演奏とは全然モチベーションも緊張感も違うと思います。
お金の話でいうと、ホールレンタルで300人以上のキャパの会場を押さえると、各ライブハウスの料金を見ると最低でも15万~20万円くらいのレンタル料がかかるのはわかると思います。
つまり、500円のチケットを300枚売って、ギリギリの採算ラインなんです。
それ以外にも、ポスターやフライヤーの印刷代、スタッフの人件費、事前の準備の手間隙を考えれば赤字です。
ノルマかけて、やっとトントンなんですね。
慈善事業でも、裕福なボンボンでもありませんので、赤字続きでは継続は不可能です。
当たり前のようにステージに立ってるバンドのみなさんにも、立派な設備、豪華な照明・音響機材、快適な環境でライブをするのには、それなりに経費もかかっているってことは理解してもらいたいです。
外で勝手に演奏してお客さん集めてライブすれば(許可の必要な場所がほとんどですが)、お金は自分たちで持ってくるアンプとか機材の実費だけです。ノルマもなにも必要ないです。
ライブハウスは、その環境を使用して高いパフォーマンスを見せれる場であるわけですから、外で見せるライブに音響・照明などの付加価値をつけて、エンターテインメントとして来場するお客さんに「満足できる空間」を提供している、その
「アーティストのパフォーマンス」と
「環境」に対する対価として
、「チケット」があるわけで、その内容に対して料金設定があると思うんです。
仙台のチケットの相場はかなり安いと思うんですが、その安い中でも、ライブハウスでのライブという部分で、たとえそれがどんなアーティストでも、自分の基準では500円を下回る価格はありえないと思います。
「ライブハウスでのライブ」というだけで、最低500円。
そこに、演奏するアーティストのパフォーマンスの価値を加えて、チケット価格は設定します。
悪く言えば、ROOKIES GATEは700円なので、アーティストのパフォーマンスの価値は200円です。
明日のJINBEYのツアーファイナルは2500円なので、JINBEYのパフォーマンスは2000円分の価値がある、という感じです。
サークルの発表会とか、身内の貸しきりパーティーとかの類は、むしろ出演者がお金を払ってその「環境」を借りるわけなので、別にチケットとかいらないと思うし、安くても何の問題もないと思います。
ただ、一般的に「バンドで頑張りたい!」というバンドマンにとっては、その「アーティストの価値」の部分を高めていく努力が、いわゆる「上を目指す」とか、「レベルアップする」とか表現される、バンドが成長していく大きな目的だと思うんです。
そういう意味では、値引きというのは自分の価値を下げているだけのような気がします。
自分に見合わない高いチケットのイベントだと思うなら、自分のランクを下げてもっとチケットの安い内容のライブを選ぶか、そのチケット価格に見合うようなライブができるように自分たちを高めていくか、そのどちらかですよね。その点、よく「俺たちも頑張ってるんですけどー」と言う人の「頑張る」部分がなんか違うんじゃないかなーって思う時もあります。
そんな考え方からですが、うちでは高校生イベントは500円~700円くらいの価格設定にしています。
「ノルマが高い」という話ですが、単価の設定はそういう理由があるのでこれ以上あげる気はありません。
しかし、よりよい環境でライブをするための場所、ライブハウスのホール代もまた、15万円くらいのラインで決まってるんですね。
大勢のお客さんの前で、気持ちよく演奏してもらいたい、そのためのノルマ設定です。
とにかく安く、お金をかけずにライブがしたいなら、ライブハウスでやろうと思わないで、スタジオでも借りて友達だけ呼んで演奏すれば、せいぜい2時間で4000円くらいしかかかりませんよ。
意外と、「アンプはマーシャルとJC120で、モニターもちゃんとボーカルが聞こえるようにして・・・」なんていう声もよく聞きますが、それを実現するためにはバンドももっともっと努力しなければいい環境はタダでは使えないんですよね。
ノルマをなくしても全然いいんですが、主催する側としてはホール代をペイする最低ラインを考えますので、同じ環境を維持するならチケット価格は1500円~2000円に設定しないと、とてもじゃありませんが内容もそれほど濃くない高校生のライブを一般発売だけで300人も集める自信はありませんので、せめて100人くらいをペイラインに考えて価格設定をします。
1500円×100枚が、主催者のノルマです。
出演者にノルマはかけませんが、チャージバックも当然ありません。
値引きなんてもってのほかです。プレイガイドは1ヶ所に指定して、そこでチケットを買ってもらうように宣伝をしてもらいます。
ゲストなんかが入るといいですね。
1500円で50人くらい呼べるゲストが出てくれるなら、2~3万のギャラを払って出演してもらいます。
あるいはパーセンテージで売り上げの何%を出演料として払います。
その価値があるわけですから。
なるべくお客さんにとって身近な価格で、より多くの人にライブを見てもらう機会を作って、若いバンドにもステージに立つチャンスを、というイベントそのものの目的を考えると、それぞれが努力するべきポイントって見えてくると思うんですよね。
果たしてノルマを下げれば本当にいいのか、何かを選ぶときに、別の何かは諦めなければいけないこともありますよね(この場合は価値を下げることで、環境は妥協しなければいけないですし)
実際、ライブハウスでイベントを企画したりすると、意外と実感したりすることも多いと思います。
全て理解してもらおうとは思ってませんが、あぁ、こういう考え方があって、こういうことをしてるんだな、って、ちょっとだけでも気づいてもらえたら嬉しいですね。
先行投資してる部分もあるので、それはちゃんと返ってこないと無駄な出費になってしまうだけなので、やはり贔屓するバンドはそれなりに「何か」を感じているってことです。
高い刺激を求めているなら、そういう場もたくさんあります。
あなたのバンドは、どっちのタイプなんでしょうか。
考えてみるといいかもしれませんね。
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- 2010/07/24(土) 18:10:16|
- たっけの日記|
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