2009年09月号(通算72号)掲載インタビュー
THE YOUTH
http://www.breast.co.jp/youth
[MEMBER] L to R
ベース:守谷悟
ギター:三井律郎
ボーカル:中村維俊
ドラム:相澤大樹
[PROFILE]
1999年結成。2000年に三井を加え現在のメンバーに。2002年メジャーデビュー、以降地元仙台を拠点に、中村の圧倒的なボーカル、若さ溢れるストレートなアレンジ、年齢に適わぬ確固とした演奏力を武器にライブパフォーマンスを中心とした活動を展開、シングル4枚、ミニアルバム1枚、アルバム1枚をリリースする。また、メンバー個々でもGt三井がLOST IN TIMEやいきものがかりなどに参加、Dr相澤もSION&The CatScratch Comboに参加しRISING SUN ROCK FESTIVAL2009に出演するなど多方面で活躍中
-ダメだと思うからダメになるし、続けようと思えば何でも続けられると思うから。
一人でも僕らの音楽を求めてくれる人がいたら、その人のために歌い続けるだろうし-
■今月はTHE YOUTHの中村さんに来て頂きました。
中村 THE YOUTHの中村です。なんでも聞いてください!なんでも答えます!よろしくお願いします。
■TAKE UP SEEDのたっけさんと同い年なんですね(笑)結成してどれくらいになるんですか?
中村 そうなんですよ。TEENSとか一緒でしたね。 うちは高校2年の終わり頃の1999年結成なので今年で10周年を迎えました。
■メンバーは昔から変わらずですか?
中村 それがですね、ギターの三井律郎が入って9年目なんで、来年もまた10周年なんですよ(笑) 10周年が2年続くってことで色々企画しようと思ってます。
■県外で活躍してた印象があるんですけど、デビューからずっと仙台在住なんですか?
中村 仙台がホームで、東京や大阪でも大きいところでたくさんやらせてもらったけど、10周年ってこともあるしこれからは気張らずにやりたいようにやっていこうかなって思ってます。 僕らは2001年頃に「青春時代」っていう曲でデビューしたんですけど、当時インディーズ的な活動とメジャー的な活動が普通のバンドさんと真逆だったんですよ。 結成して2年目くらいでデビューしたんだけど、バンドってとがってなきゃいけないってイメージがあったんだよね。 だからTHE YOUTHは結構一匹狼だったし、人見知りするし、そうじゃなきゃいけないって思ってたから。 あの頃は肩に力が入りすぎてたのかもしれないね。
■昔の写真を見てもギラギラしてますね。
中村 その頃はまだ20歳で、やっぱ子供だよね。ガキだったなぁと思う(笑)でも今になってやっとインディーズの活動み たいなのをしてる感じがするし、本当真逆なんだよね。若い頃にメジャーでいろんなことを経験して、年を取ってからインディーズの活動を今経験しているから。ズバンドの大事な部分の、音源とかも全部自分達で作り上げていくってことも当時は経験できなかったから、今やってみてどうして昔こういうふうにやらなかったんだろうって思うし。 でも今だからできるのかなって。昔のとがった状態でやっても繋がらなかっただろうし。これがバンドの運命だと思ってやってます。
■当時を振り返ってどうですか?
中村 当時は右も左も分からない状態だったから、自分を信じるしかなかった。そんな中でデビューしてすぐに大人の声も聞かなきゃならないって状況になって、でもすごい良い経験ができて。だからこそ10年続けてこれたのかなっても思うしね。普通にインディーズを経験してからメジャーデビューって流れになってたら解散してたと思う。
■逆に今は肩の荷が下りた感じですか?
中村 そうだね。知っておくべきことを若くして知れて、経験できるところを経験させてもらって、もう怖いもんナシじゃないですか。 だから今は気楽にバンド活動できてるっていうか。続けることが大事だってよく言うけど「継続」がバンドをやっていく上で一番必要なことだなって実感する瞬間がたくさんあって。 自分らと同時期にデビューしたバンドとかはもうほとんど解散してますからね。
■サウンド的にはこの10年を通じて変化は ありましたか?
中村 昔は若かったね(笑)やっぱり10代にしか書けないものってあったんだなぁって思う。あの頃の気持ちは絶対に無くしちゃいけないんだなって感じつつも、僕は「変わらないかっこよさ」っていうのがあんまり好みじゃない人間で、アルバムごとに変わっていくようなアーティストが好きだったり、音楽だし人間だし、変わるのが当たり前だと思っているので、核となっているところさえ変わらなければ、どんどん実験的にやってみたいって思ってます。その時影響を受けたものとか吸収したモノを明確に表に吐き出していきたいタイプなので、楽曲的には変わってきてると思いますね。最終的には、僕はフォークやブルース、ロックンロールだったりルーツミュージック的な音楽が大好きなので、結局はそこに辿り着くんだろうけど、言ってもまだ20代なんでそういうことは30代、40代になってからでもいいかなって。今はとにかく感じ取って刺激を受ける音楽っていうのを分かりやすく表に吐き出して実験的なこともやりつつ、っていう感じなので、めちゃめちゃ楽しいです。今ようやく音楽が楽しいって思えてる気はしますね。今まで音楽っていうのは骨身を削るっていうか自分の血であり肉でありみたいな気持ちで詩を書いたりしてたので、そういうのも必要だけどそれだけが全てじゃないなって。ある時はジョークだったりユーモアだったり、アリな場面は精一杯みんなと楽しみたいし。1つのミュージックとしてBGMでもいいし、って受け止められるようになった分気が楽になったかな。
■確かに強いメッセージが込められてる曲が多いですね。THE YOUTH=とにかくアツい!みたいなイメージが当時はありましたね。
中村 そうだね。今自分で聴いてみても驚くほどにアツい(笑) 自分の気持ちよりも衝動だけが先走っちゃって、結局何を伝えたかったんだろうって今思うとなんだったんだろうって思うけど、10代はこれでいいんですよ。 10代の頃は好きなことをやるべきだと思う。
■10代の頃のバンドっていうとどんなことが思い浮かびますか?
中村 ここがまたTHE YOUTH特有のところなんだと思うけど、僕らが10代の頃は「バンドというものは上手くなきゃいけない」「バンドというものは確立されたものじゃなきゃいけない」とか孤高のものじゃなきゃいけないっていうイメージがすごく強くあって、バンドで飯を食ってくって気持ちが他のバンドより突起してたと思う。当時は練習もものすごくしてたし、ライブ終わって打ち上げ出たこと一度もなかった(笑) ライブハウスで撮ってもらったビデオをメンバーの家に持って帰って反省会。ここがダメだった、でもここは良かったっていうのを言い合って、次どうすれば良くなるかって話し合って、練習して、ライブして、の繰り返しだったね。こう言ったらちょっとあれだけど、飲んでる暇があるなら練習しなきゃだめだと思ってた。打ち上げで飲んでる間の2時間とかを無駄にしたくないって当時は調子にのってたけど、今は打ち上げしたくてしょうがないね(笑)
■ギラついてましたね(笑)そんなストイックな高校生はちょっと怖いですね(笑)
中村 ギラギラしてたからね(笑)でもそれがメジャーデビューにも繋がったと思うし、他のバンドより「何よりも多く、何よりもデカく、何よりも強く」みたいなことはすごく思ってたから、すごく真面目だったと思うし、そのおかげで結果が出せたし、多くの経験もできた。その分今は早く打ち上げ行こうぜぐらいの気持ちだし(笑)だから仙台のバンド仲間がいないんだよね。孤立してた感もそこにあるんじゃないかな。もちろん打ち上げに誘ってくれた先輩とかもいたけど、「THE YOUTHは付き合いが悪い」みたいな感じになってしまってたね(笑)
■じゃあ周りのバンドにはライバル心剥き出しだったんですね。
中村 そうだね。先輩・後輩関係なく、仙台のバンドに限らず会ったら全員敵だと思ってた。横の繋がりなんていらねぇって思ってたし、横に繋がってるから上れないんだよってことも調子にのって言ってた。だから今は横に繋がりたくてしょうがない(笑)
■(笑)当時はプロを目指すのが当たり前って感じでしたもんね。
中村 うん、インディーズって言葉自体あんまり聞かなかったし、自分らが聴いてきた音楽がメジャーのものだったからね。僕はTHE YELLOW MONKEYとかBLANKEY JET CITYとかをよく聴いてたから、そういう音楽に触発されてきたし、ロックはこうあるべきだっていうバンドも見てきたわけだけどそういうバンドも全部メジャーで成功しているバンドだから、自分も同じフィールドに立たないと音楽をやっている意味がないと思ってましたね、10代の頃は。でもやっていくうちにメジャーの在り方みたいなのが変わってきてしまって、それが全てじゃない音楽フィールドができあがってきたし、そのぐらいから必ず東京に出なきゃいけないっていうのが崩されたみたいな感じはあったかな。うちらがデビューしたくらいからやっと地元から発信するバンドが増えてきて、それこそガガガSPとかはずっと大阪とか神戸とかで活動してたし。でも今思うと東京出た方が良いよね。今でも思うけど東京には刺激が溢れてるし、常に音楽が流れてて常にその最先端をみんなが求めて 走ってて、その渦の中に入っていくと自分がどれだけ取り残されてるかっていうのも分かるし、音楽に対しての見え方も地元でやってるのとでは違ってくると思うけど、でも忘れちゃいけないものもあるじゃないですか。だからこういう土地にいないと気付けないこともあるし、メリットとデメリットがどっちにもあるんだなぁって。だから自分の肌に合った方を選んだほうがいいと思う。必ずしも地元にいれば良いってもんでもないし、必ずしも東京に出れば良いってもんでもないし。
■じゃあ東京に憧れはあったんですか?
中村 俺はいつでも東京に行こうって思ってる。今でも。あっち行ける準備はできてるんだけど、まぁこれといってきっかけもないし、仙台でやっててもやっていけるかなって思うからね。東京なんて車ですぐだから別に住まなくてもいいんじゃないかなって思うけど。
■東京の音楽に対して仙台の音楽はどのように感じてますか?
中村 俺は逆に仙台のバンドシーンに触れ合わないできたから、一線引いて見えてくる部分もあって。 第三者の目で見てきて思ったのは突起して出てくるバンドがあんまりいないかな。そこも一煽りしようと思ってたんだけど、最近はカラーボトルとかも出てきてるし良いと思います。でも今回こうやってイベント出させてもらったりインタビューしてもらって改めて考えてみるといっぱいいるね、仙台のバンド!俺らが知らない分10代のバンドは俺らのこと全然知らないだろうし、今こうやって自由に活動してる時期に触れ合ってどんどん輪を広げていかないと、って大人になったんですよ、THE YOUTH。だからすごく新鮮です。うちらの世代でいうとN.E.SとかGOOD NIGHT A FAKERとかしか知らなかったから、今はまだ知らないバンドの人達にも俺らを知ってほしいし、うちらもそのバンドのこと知りたいんで、人見知りのTHE YOUTHも少し頑張って触れあっていきたいなぁと思っています。
■10代バンドのライブは観たりしますか?
中村 こないだTAKE UP SEEDのイベントでTHE LOCAL ARTが来た時にSA-Dとか色んな若いバンドを観ましたよ。やっぱり受けた印象は「真っ直ぐ」ですね。たぶんこのまま音楽を続けていくと、考えたりちょっと曲がった部分とかも出てくると思うんですが、それが"ない"強さがあると思いましたね。これがすごいなぁと思って。ちなみに俺の2009年のテーマは「シンプル」なんですよ。答えはシンプルでいいと思うんですよ。好きなものは好き、嫌いなものは嫌い、やりたいからやる、やりたくないからやらない、で良いんじゃないかと。可愛い子に会ったら好きって言っちゃおうと(笑)
■それでは10代のバンドマンに向けてアドバイスやメッセージがあったらどうぞ!
中村 こういう質問に弱いんですよね(笑)でも、言ってしまえば僕らも同じ土俵に立っている1バンドマンなので、10年やってるとかそういうのはあんまり気にしないでほしいですね。同じステージに立ってるわけだから、共にいい音楽を作るバンド同士、地元・仙台に良い音楽を届けようってお互いに思ってやれればそれでいいんじゃないかと思います。
■やっぱり今までインタビューしてきた中で中村さんが一番アツいです(笑)
中村 やっぱ俺ギラついてんのかな(笑)なんなんだろうね、自分でもよくわかんないんだけど。でもね、鉛筆じゃないけど、どこを削ってもいつでも芯は真ん中にないとだめだと思うんだよね。その中で打ち上げ行きたいとか酒飲みたいっていうのはあるんだけど、さすがにバンドも10年やってると暗黙の了解で、その日のライブで自分が良かったか良くなかったかっていうのは、口にしなくてもメンバーの顔を見ればそれぞれ分かる部分があるんですよ。でもここまでくると遊びではない次元にきてて、やっぱりお金を払って観に来てくれるお客さんのことを考えると、甘いこと言ってられないですからね。打ち上げでごまかすわけにはいかないし、また見に来ようと思ってもらえるようなライブをするとなると、それなりに大変な思いだったり考えだったり必要になるでしょっていう。そこがしっかりしてれば、あとはみんなで楽しくやろうって思えるんですけどね。
■ちなみに今もDVDを観ながらの反省会などやってるんですか?
中村 さすがにDVDはツアー中とかだと観れなかったりするけど、必ず今もMDに録ってもらったライン音源を聞いてます。昔よりももっとシビアになったかもしれない。でもみんな的を外した意見は言わないから喧嘩にはならないんですよ。 分では気付かなかったけど確かにそうだってことを言い合うから。あとうちらのバンドは練習をちゃんとしないと如実にその練習してない感が出るから(笑) お客さんは気付かないかもしれないけど、メンバーは気付くし、メンバーが気付いたらダメだと思うんですよね。常に解散も頭に入れてやってるからそういう緊張感はちゃんとあるし、笑えない時は笑えないですよ。
■10年も続く秘訣みたいなのがあったら教えてほしいです。
中村 あんまり重く考えず、かつ重く考えることかな。結局は「シンプル」に辿り着くんだけど、やるべきところはやって、やらないところはグダっとしててもいいんじゃないかなって。「こうしなきゃいけない」って思い込んで周りが見えなくなっちゃうとだめだし、でも周りばっかり見すぎてもだめだし。あとはもういつ解散してもいいかなって思ってリラックスしてやってるから逆に続くんだと思う。笑い話とすれば解散するタイミングを逃して10年経った、みたいな(笑) でも、そのくらい軽く考えてる。ただ決して楽な生活をしているわけじゃないけど、常に思っているのは、続けようと思えば何でも続けられるんだよね。だめだと思うからだめなんであって、発想の転換で、自分の今の生活の中で続けていければいいし、そこを無理しちゃうから続かないっていうのはあると思うよ。
■中村さんって本当に音楽が好きですよね。そういうキモチが伝わってきます。
中村 根が真面目なんだよね、きっと(笑) でもその感じが自分ではキライなんだけど。
■今後の予定とかは決まってますか?
中村 僕ら6月13日に10周年記念として自主制作のCDを出したんですよ。それをシリーズ化ようと思っていて、第一弾を発売し終えたので第二弾を制作しようとしているというのと、7月には「10代の衝動vs20代の衝動」に出させてもらいます。あと9月にN.E.Sの企画に出させてもらうのが決まってます。なので、今更ですが仙台のバンドの企画に出させてもらって、すいませんTHE YOUTHです、ってことで(笑) 改めて出て行こうかなと思ってます。
■今後の目標とか夢はありますか?
中村 好きなようにやりたいです(笑)好きなようにみんなでやっていって、さっき言った自主制作CDとかも本格的にやっていけたらなと思ってます。なるようになっていけばいいですね。ここまできたら楽しく続けていこうって、それだけですね。続けていって、1人でも僕らの音楽を求めてくれる人がいたらその人のために歌い続けていくだろうし。
■ありがとうございました。今後も一緒に仙台を盛り上げていきましょう!
中村 ありがとうございました!
(インタビュー:のだたん)
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- 2009/06/01(月) 17:20:17|
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